赤外線サーモグラフィの活用分野はさまざまです。ビルやマンションなどの
建築物、橋梁やダムなどの土木構造物の劣化診断や電力設備、太陽光パネルなどの
保守点検、ヒートアイランドや火山などの環境調査など、対象物の温度分布や
温度変化により判断できるものに対してその威力を発揮します。
赤外線サーモグラフィによる構造物の劣化診断や熱環境の調査はこれまでも
行われてきましたが、近年めざましい進化をしているドローンに搭載することで、さらに赤外線サーモグラフィがもつポテンシャルを生かすことができます。
人がアプローチできない場所へもドローンであればアプローチが可能ですし、
限られた時間の中でより効率的な計測を行うことが可能です。
赤外線サーモグラフィによる構造物調査では、日射による対象物の加熱が
必要です。対象となる壁面の向きにより、日射が効率よく当たる時間は
限られています。ドローンによる調査では、地上からの計測と比較して
撮影時間が短くなりますので、対象物に日射があたるベストな時間帯を逃さずに
撮影することができます。しかしながら、航空法の関係やプライバシー保護の
観点から、すべての構造物に対して、この方法を適用することはできません。
事前の準備や調整が測定のポイントとなります。
ドローンによる空撮は、これまでの赤外線調査の概念を大きく変えました。
これまでは望遠レンズや高所作業車などを使わなければならなかった場所への
アプローチも可能となりますので、
調査や計測ができるフィールドがさらに広がります。
太陽光パネルは、セルが劣化すると異常加熱が発生することがあり、
そのまま放置すると発電量に影響が出たり、大きな事故につながることが
あります。地上からの赤外線サーモグラフィによる太陽光パネルの点検は、
これまでも行われてきましたが、太陽光発電所の規模も年々大きくなり、
点検すべき太陽光パネルの数も増大しています。赤外線サーモグラフィと
ドローンの組み合わせによる定期的なパネル点検は、点検の効率化はもとより、
パネルの故障による発電量のロスを未然に防ぐことに繋がっていきます。
赤外線サーモグラフィは、物体から放射される赤外線エネルギーをビジュアル化
するので、夜間の計測でも大きな威力を発揮します。
防災を目的とした撮影やヒートアイランドの観測、環境調査など
これまでの可視カメラでは捉えることができなかった世界を
見ることができるようになります。
弊社では、これまでの赤外線サーモグラフィによる調査の経験をベースに、
空撮に多くの実績を持っているドローンパイロットと提携しております。
単に熱画像を撮影するだけでなく、計測に関するコンサルティングや
画像解析など、トータルソリューションをご提供いたします。
建物の屋根に設置された太陽光パネルを遠赤外線カメラを搭載したドローンで撮影したものです。セルの劣化と思われる温度異常部が見受けられます。
廃校となったモルタル塗りの校舎を赤外線サーモグラフィを搭載したドローンで撮影したものです。モルタルの浮きと思われる部分が高温部となって表示されていることがわかります。高温部として表示されている部分を打診により確認したところ、浮いていることを確認することができました。
夜間の様子を赤外線サーモグラフィを搭載したドローンで撮影したものです。可視カメラではほとんどわからない夜間の街の様子も赤外線カメラでははっきりと捉えることができます。